酒造りに適した米
 

日本酒の原料として使用される米は、主食用の米(飯米)と同じジャポニカ系統の水稲うるち米に属します。わが国では多くの品種の米が栽培されており、そ のうちどの品種の米を使っても日本酒を造ることはできますが、なかでも酒造りに適した米は「酒造好適米」と呼ばれます。  

酒造好適米は、一般の飯米に比べて粒が大きく(大粒米)、白い芯の部分(心白)も大きいうえに、たんぱく質含有量が少ないという三つの条件を満たした品種です。
代表的な品種は、「山田錦」、「五百万石」、「美山錦」、「雄町」などですが、その生産量はすべての酒造需要をまかなうにはとても及びません。酒造好適米は、一般の飯米に比べて栽培が難しいということもあります。
たとえば、大粒米のなかでも「雄町」は米粒が大きく優秀な品種ですが、茎が長いため結実期に倒伏し、機械での刈り取りがしにくいという欠点があります。したがって、作付け面積はなかなか増えず、雄町のように年々減少している品種もあり、価格も高いです。そのため、一般の飯米もかなりの量が酒米として使われているのが現状といえます。

玄米の粒の大きさは品種によって違います。粒の揃った玄米1000粒の重量を千重量といいますが、一般の飯米の玄米が20〜22gであるのに対して、25g以上のものを特に「大粒米」または「大粒種」と呼びます。そして、大粒種の中でも、粒の中心部(心白)が白くうるんで見えるものを「大粒心拍米」と いいます。
心白はでんぷん粒が粗い部分で、これが大きいと麹カビが繁殖しやすく、麹造りの重要なポイントの一つである破精込みが容易になります。酒造好適米の検査基準では、心白の発現率は80%以上です。その他、大粒心白米は吸収も早く、蒸すと粒の外側が硬く内側が柔らかい、いわゆる外硬内軟でさばけのよい蒸米になりやすく、酒母やもろみ中での消化がよい、 などの特徴も有します。

また、米にはたんぱく質や脂質、灰分が含まれています。これらの成分は酒造りに必要(たとえば、日本酒独自の旨みは、麹カビがたんぱく質を分解してつくるアミノ酸に由来します)ですが、多すぎるとかえって、味や香りを損なってしまいます。これらの成分の多くは米の表層部に含まれているため、酒造りでは必ず米を精白するわけですが、米の内部にも少ないほうが酒の質への影響がより小さくなるわけです。


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