甘酒
 (文/cocco)

3月3日はひな祭。女の子の成長や幸福を願う行事で『桃の節句』ともいわれます。また、桃の節句を含む五節句(正月、三月三日、五月五日、七月七日、九月九日)は、「女性のための日」でもありました。女性は普段よく働いているから、この時くらいは十分に休養するという意味が込められていたのです。  
桃の節句などによく飲まれる甘酒は、米麹(こめこうじ)から作られる飲み物です。米麹、ご飯、水を「2:2:1」の割合でまぜ、55〜60度を5時間ほど保ち糖化して作ります。
米麹とは、米を蒸したあと、コウジ菌を付着させ発酵させたもので、アルコール分は0パーセント。子供も安心して飲むことができます。

しかし、現在、一般に市販されている甘酒は、酒粕(さけかす)を用いて作られているものがほとんど。酒粕には8%ほどのアルコールが含まれていますので、お子さまと飲まれるときは原材料への注意が必要です。

飲んで暖まる甘酒は冬に似合う飲み物ですが、季語は夏。江戸末期の文献『守貞漫稿(もりさだまんこう)』には、「夏になると甘酒売りが出まわった」という記述が残されています。
最近の研究で、甘酒には『麹』の働きで生成したビタミンや必須アミノ酸が多く含まれていることが明らかになりました。江戸庶民の夏バテ防止の栄養補給に一役かっていたのですね。

移り変わる季節の節目を感じ取り、こころ豊かに暮せることを楽しみ、祝う、ひな祭り。この日にいただく甘酒の、部屋に漂う甘い香りと、ほんのりとした懐かしい味わいは、人の心をノスタルジックな気分にさせてくれます。


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