【香る秋・浮菊酒を愛でる】 文/七海ヒカル


菊の花には、不老長寿の効能があると言われているのをご存じですか?
古代より観賞用として親しまれてきた菊は、平安時代の初めに、中国から入ってきたといわれています。菊の呪術的な力や象徴効果についての話は、それ以前に、書物によって入っていました。

中国が唐と呼ばれていた時代の類書(昔の百科事典)には、菊を果汁や酒にして飲むと、不老長寿の効能があると書かれています。また、『菊水伝説』という故事が収録されていて「麗(れき)県地方の上流には、菊の花がたくさん咲 き、菊の花のしずくが落ちる谷川の水を飲む、その地方の住民には、百歳を超える長寿者が多い」というような話が書かれています。
『菊水伝説』は、平安時代の貴族が愛好した書物だといわれています。

平安時代に書かれた『紫式部日記』の中には、このようなことが書いてあります。
菊の花の香りをうつした綿が、紫式部の元に届けられました。その綿で体を拭くと、若くなるというのです。
若返りの効果は本当にあるのかどうかは分かりませんが、菊の花の強い香りに、古代の人たちは神的な力を感じたのかもしれませんね。

菊の花が咲く季節。
『紫式部日記』の中の、"神秘の力"をためしてみようかな?なんて思ったり します。
菊の花を浮かべたお酒を、愛でながら…。


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