【五感で味わい尽くす冬】 文/ミーナ

四季がある国は日本だけではない。
しかし、四季折々の情緒にぴったりと寄り添った「小物」が
これほどまでにあふれている国は、そうそうない。
特に日本の冬は、五感のすべてで情緒を味わい尽くすための季節。

冬の寒さとは裏腹に人々の心を温かくするのは、
冬の休みをどう過ごそうかと考えるひとときだ。
その場所を訪れる前から想像の旅は始まる。

   繁華街からやや離れた宿。窓の外は夕闇に包まれた雪景色。
   持ち込んだ日本酒を食前酒にしてまず一息。
   夕食を待つ胃袋を食前酒が刺激して、調理場から流れてくる
   料理の匂いがさらに食欲を増す。夕飯はカニ三昧といこう。
   食後に一休みしたら、次は露天風呂に入りながら熱燗で雪見酒。
   火照った体に舞い落ちる雪のひとひら。
   見上げれば、墨黒の夜空に冷たく光る月。

冬の感触を想像しながら旅に想いを馳せる瞬間は、
日常生活で少しくたびれた五感のリハビリテーションにもってこいだ。
五感のリハビリが終わったら、
さっそく冬の旅に出よう、などと考えながら晩酌をするひと時も、また楽しい。




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