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【父の気持ち】 文/おぐら美月
正月二日に降り始めた雪は、あっという間にあたり一面を銀世界にした。
キミがあこがれてめざしている北の大学では、冬中こんなふうに雪に覆われた真っ白な世界なんだろうね。誰も知る人のいないところで暮らしてみたいという、少年らしい気持ちがわからないでもないが、ほんとうにだいじょうぶなのか。
「お神酒」と称して、三が日毎食、杯を干していた両親を尻目に、キミは最後の調整に余念がなかった。「オレはオトナになっても酒は飲まないから」なんて言いながら、問題を解いていた。親戚一同、友人一同、のんべえばっかりの中で育ったから、反面教師が効きすぎたか。
子どもが自分で生きていく道を見つけたとき、親の役目もほとんど終わりに近づいたといっていいだろうか。母さんは、小さいキミに毎日絵本を読んで聞かせ、ピアノやエレクトーンを教えていた。でもキミの選んだのは、文系でも芸大系でもない、理系だった。さらに、「父さんのようなサラリーマンにはならない」と言って、さっさと志望を固めると、その方向へ歩み始めた。自分のやりたいことを見つけたんだね。北の大地にキミの夢をかり立てる何かがあったのか。
トコトコと後をついてきてはまねばっかりしていたキミが、いつか、何でもかんでも反発するようになり、そして今、手元から旅立って行こうとしている。
やがて、本当にオトナになった時、酒瓶を片手に帰ってくるのを待っているよ。男同士、いっしょに飲める日もそう遠くはないだろう。
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